11月12日更新
11月19日更新
●あなたの仕事の「軸」って何?

川島係長 「専門性をもっと高めていればなあーと後悔しているんだよ俺は…。
フィールド・サービスという業務を通じて、商品開発や技術開発の仕事も出来る力をつけておけばよかったなあとね。」

「そうすれば会社に対してだって、自己主張して残って会社のために頑張ります!って言えるだろうし、反対に、会社がもう必要ないですよと言うのなら、ハイ そうですか? じゃあ応募させて頂きますってさあ、堂々と胸張って転職するだけの自信も持てるしさあ…。 そう言う事を言ってるの、俺は…。 分かるだろう?」

武知係長 「そうだなあ…。 今さら悔やんでも仕方が無いけど、これまで俺たちはそこまでやらなくても良かったんだからね。 定年まで働けると思っていたもの…。」

「俺の場合でも、単なる給与計算業務を、決められた期日までに、誤り無く正確に処理することだけを心掛けてやっていたわけさ。 社会保険事務でもそうだよ。 事務屋に変に徹していたと思うよ。」

「志をもう少し高く置いていれば、給与計算業務を通して、給与体系の改善といった人事企画力を身につけ、人事コンサルタントの道も開けたかもしれないし、社会保険労務士の資格に挑戦して資格をとっておくとかさあ…。」

「今さら悔やんでも手遅れなんだけどさあ…。」
「みんな私が甘かったのよ。 目標を持ってそれに向かって努力する奴には克てないのは当たり前だよな。」

そう、先ほどの「すだち亭」での武智係長と川島係長の会話だ。
それでは「二人の後悔」を繰り返さないために、「仕事の軸」がなければ、どのようにして「軸」を作っていけば良いかを考えてみよう。

「諏訪の御柱(おんばしら)」ではないけれども、「仕事の軸」は、なにも4本なければならないというものではない。 「1本の軸」だけでも良いのだ。

先ず、「自分はこの会社でどのような仕事をしたいのか」を整理してみること。

やっぱり現在の仕事なのか、はたまた今の仕事とは別の仕事に「想い」があるのか?
複数の種類の仕事をピックアップしても構わない。

この自分の「想い」をハッキリとさせることが、「仕事の軸」を作る場合には一番大切なことだ。

そのためには、自分の心と心とをジックリと対話させなければならない。

自分の「想い」が分からないという人もなかにはいる。
そういう場合は、次のように整理していけばよい。

@
仕事をしていく上で、最も大切にしていきたいこと。 または、どうしても妥協できないこと。 即ち、自分自身の「仕事上の価値観」は何かを先ずチェックしてみること。
例えば、管理職に就かなければ仕事をしていく上で意味は無いと考えるか、自分の技術や技能を磨き、磨いたものを仕事上で発揮することに意味を感じるとか、自分が行っている仕事が世の中や社会に貢献しているという実感が感じられる仕事でないと意味が無いと思っているとか、仕事をしていく上で、挑戦性の無い仕事以外はやる気が起こらないとか、与えられたルーチン業務を正確に遂行することに喜びを感じるとかといったことである。

A
自分が興味や関心を抱ける仕事は、どういう仕事かをチェックしてみること。

B
自分の性格に合う仕事、いわゆる「適性」があると思える仕事は何かをチェックしてみること。

以上の@からBまでをすべてクリヤーしたものの中から絞り込んだものが、自分の「想い」なのだ。 「志し」と言っても良い。 「ビジョン」「目標」と言っても良い。

次に、「ピックアップされた仕事が、現在の自分の能力で、充分出来るのかどうか」をチェックすること。

現在のパフォーマンスで十分出来るのであればOK。

仮に、現在の能力では出来ないレベルの仕事であれば、これから「磨いていく領域」=「新たなキャリアの開発アイテム」と位置づけして、いつからどのような方法で能力アップを図っていくかのアクションプランを作り、実行していくという段取りになる。

三番目のステップとしては、会社(上司)から現在、又は今後において、求められている役割や期待されている役割、そして仕事上の課題は何かを整理する。

「会社(又は上司)から何も求められてはいない」「仕事上の課題もない」という人は少ないだろう。

仮にそうであるとしたなら、あなたの明日は、「退職勧奨」対象のサラリーマンとしての運命が待っているだけだ。

以上のような手順を踏んで、

@「自分の想い」=「自分自身がやりたい仕事」 A「自分の能力」=「自分自身が出来る仕事」 B「自分の役割・期待されている役割使命・仕事上の課題」
を正しく整理・把握して、この3条件をクリヤーしている領域や仕事とは一体何かを自分自身で明確に出来たなら、そこに「仕事の軸」を据えていくと良い。

「会社からは、あなたにはこういう仕事をして欲しい・こうなってもらいたい・課題を解決して欲しい」という要請・要求されている領域と、「自分はこういう仕事をしたい」という、自分の「想い」の領域と、「自分は今現在、こういう能力がある」という能力領域の「3つが重なり合ったもの」の中に「仕事の軸」を据え、計画を立ててチャレンジしていくことにより、実りある結果が得られということを胆に命じるのだ。

企業を取巻く環境が、時々刻々と変化する中、企業が組織目標を達成して、将来にわたって社会に価値を提供し続けるためには、人材の育成強化は、これまで以上に喫緊の課題として捉えられている。

そのために、従来の教育・研修では、社員の階層ごとに必要なスキルを、また、社員の職種ごとに必要なスキルをといったように、職階層や職種という枠組のみで社員の能力向上の為の施策がとられてきた。

然し現在では、それら従来の施策に加えて、仕事に取組む一人の“プロ人材”として、“より価値のある存在”になることを、企業として支援していく教育・研修が活発に企画され実施されてもいる。

「克つ! サラリーマン」を目指すのであれば、このような教育・研修の場を逃してはいけない。 積極的に参加の意思表示を行って、自らの「職業観」を磨いていくことが大事だ。 “1社に就社“ということが必ずしも実現できない時代には、この「職業観」の問題が重要になっていることを認識すべきなのだ。

“プロの人材”はどのような社名の下に入っても成果を上げ続けられる人材をいう。 “より価値ある存在”とは、社内外を通じて価値ある存在という意味だ。
このような「克つ! サラリーマン」には、シッカリとした「職業観」に裏づけされた「仕事の軸」をもっているものだ。

従って近年、仕事に取組む一人の“プロ人材”として、“より価値のある存在”になることを、企業として支援していくこの種の教育・研修は、「キャリア・デザイン研修」「キャリア創造研修」「キャリアデザイン・ワークショップ」等のネイミングで呼ばれていることが多いが、ほとんどの研修では、研修の成果物として研修受講者に「仕事上の軸」「軸となる能力」を考え認識させて、パフォーマンスをよりアップさせていく動機づけにしているのが実情だ。

しかしここで注意する必要が一つある。

「会社が求める能力」だけに比重をおいて「仕事の軸」や「軸とすべき能力」を考えていっては、「克つ! サラリーマン」にはなれないということ。

「個人としてのパフォーマンスの軸」も併せ持っていくことが大事なのだ。
それでなければ、“プロの職業人”やら“社内外を通じて価値ある存在”でる「克つ! サラリーマン」にはなれはしないことに留意する必要があるのだ。

このような世間の流れについていくことが苦しいと感じ、諦めが先に来るようでは、あなたは、もうそのような会社と一刻も早く“お別れ”した方が、「会社も幸せであり、あなたも幸せ」なのだ。